怪盗、虹色地平線


「大変だ!警部!
怪盗の予告状が届いた!」
手紙を手に部屋へ飛び込んで来た俺に、安楽椅子に腰掛け幸せそうに足をプラプラさせていた少女は途端に厳しい顔になる。
「見せてください!」
「ナレーク語なんだが。」
「…読んでください!」
大陸共通語しか読めない警部をアシストするのも助手の仕事だ。
怪盗と言うには地味な業務用封筒からシンプルな紙片を取り出す。真面目そうな文字で記してある文字に目を走らせる。

『今夜、目録リストを頂きに参ります。
怪盗“灰鷹アッシュイーグル”』

「目録…ですか?」
それもリサーチ済みだ。
目録リストはナレーク王家の国宝だ。
王家の方にも同じものが届いたらしい。」
怪盗の名はイリス警部にも聞き覚えがあったらしい。
「“灰鷹アッシュイーグル”はこの間の未亡人拉致事件の犯人ですね。」
「ああ。“貴女は芸術品だ”とか言って、未亡人を拉致監禁した野郎だ。」
「国宝を盗ませる訳にはいきません!
レイさん、現場に急行しましょう。」
椅子から立ち上がり上着を羽織る警部。机上の書類はこのままでいいのだろうか?
筆立てに残されたままの絵筆に気がついた。
「おっと警部、これを忘れてるぜ。」
「きゃ、すいません。」
俺は警部に筆を手渡す。いつもはボケている彼女は、この筆を持つと凄腕警部に変身するのだ。
トレードマークは絵筆、灰色の脳細胞が活性化する!


次回予告!
剣術に長けた助手レイの大きな隠し事!それは“灰鷹アッシュイーグル”と同じ道場生だったことだった。
必死で友を怪盗から足を洗わせようとするレイだったが…。そこに自称探偵の王族まで現れて!?
今夜、闇夜に鷹が舞う!


2010.10月まで。二代目。

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