怪獣大戦争





これはクトゥルフ神話TRPG向けのシナリオです。
「これを使ってセッションをしてみたい!」という有り難い猛者の方はお持ち帰りください。

探索が冗長なので、特に教団の教会探索を短くするとテンポがよくなるかもしれません。


0、概要

行方不明になった友人を探しているうちに、探索者たちは闇をさまようもの(「燃える三眼」。ニャルラトテップの化身のひとつ)を呼び出そうとするカルトの存在に気づく。友人はそれを阻止しようと動いていたようだったのだが…。

場合によれば「闇をさまようもの」と「クトゥグア」の敵対する神格二柱が同時召喚されるシナリオ。
二柱とも召喚された場合はもちろん、どちらか一方でも召喚されて野放しになれば、少なくとも日本くらいは滅亡すると思われる。

人知を超えた強大な存在に虐殺されたい方にお勧め。


参考資料:ダーレス「闇に棲みつくもの」
     ラヴクラフト「闇をさまようもの」
     ロバート・ブロック「尖塔の影」
     闇匣(トラペゾヘドロンさま http://www.geocities.co.jp/Playtown-Darts/9144/)
     湖の隣人の小屋(湖の隣人さま http://www5d.biglobe.ne.jp/~lake-god/)


1、導入
 三か月前から友人と連絡がつかない。その消息を求めて探索者たちは彼の家を訪れる。


2、昼間なのに暗い家
@家の前
 友人トオルはある地方都市の一軒家に住んでいる。ごみごみした下町の裏手の路地に面した、二階建ての小さな家が隙間なく密集している地域にある。古びた目立たない家だ。窓にはカーテンが閉められている。
 家の扉には鍵が掛っている。留守のようだ。探索者たちは、この家の前に昼過ぎにつくが、周囲の家には人気が無い。通行人はいるが、声を掛けてもあまりこちらと関わり合いたくない感じでそそくさと去って行く。ポストは扉に備え付けられているタイプで、そこから中を覗いても暗くてよくわからない。扉や窓を破るには人通りがあるため、通報される可能性がある。
 扉を破ろうとする場合:扉STR6で抵抗ロールに成功

 扉の前でたむろしていた探索者たちは、若い女セリカと出会う。彼女は20代中盤くらいの年齢で、探索者たちに自分は彼の友人であると告げる。彼女は鞄から取り出した合鍵で家の扉を開ける。
 昼過ぎにもかかわらず室内は暗く、明かりはない。探索者は電気をつけることができる。



A玄関
 玄関には郵便物が散らばっている。郵便物は二通。
 1)電気代の請求書・・・先月の分が滞納されている。少なくとも2か月前までは振り込まれていたようだ。
 2)アイドルのファンクラブの郵便物。会員向けの冊子が入っている。
 靴は数足が靴箱にしまわれているが、外に出ているものは無い。

Bトイレ
 洋式便座。小奇麗に保たれている。トイレのマット、便座カバー、タオルは赤色で統一されている。

C居間
 居間の奥には薪ストーブがある。かなり大きめの薪ストーブからは煙突が天井に伸びている。その横には薪置き場があり、両方合わせてかなりのスペースを取っていた。テレビや食台などがあるため、居間だということが分かる。窓には厚手の遮光カーテンが下されている。全体的に赤色で統一されている。
 1)窓:カーテンは普通にホームセンターなどで購入できるものだ。窓も何の変哲もなく、隣家の壁が見える。時間帯によっては陽が差し込むだろうと思われるが、今は隣家に遮られてさほど明るくならない。
 2)薪ストーブ:横70p×横65p×奥行65pメートル。100万円ほどで付けられるもので、あまり高価ではない。使いこまれて年季が入っている。内部には燃えさしの薪が入ったままだが、火は消えている。
   ※知識ロールに成功すれば、焼け焦げた紙切れが中に入っているのに気づく。これは書類の燃え残りで、シュレッダーのように使われていたことがわかる。幸運ロールに成功すれば、読むことの出来る断片を発見する。「例の実験を実行する。それにあたって資料の一部は倉庫に移す。」という走り書き。
 3)戸棚:上部が戸棚、下部が引き出しになっている。アイドルファンクラブの冊子がスクラップブックにされているものが入っている。アロマセラピーのロウソクが数十本しまわれているが、どれも使いかけだ。あとはマッチ、チューブの薬、チョコレートクッキーの箱などが乱雑に詰め込まれている。
※アイデアロールに成功すると、その薬が火傷の薬だとわかる。

D台所
 冷蔵庫とシンクがある。食器は一人の人間が暮らす最低限の枚数分ある。シンクはあまり使われた形跡がなく、流しに食べ終わったコンビニの弁当のケースが無造作に入れてある。冷蔵庫の中には、牛乳(一パック)、茶のペットボトル(一本)、缶ビール(二本)、ケチャップやマヨネーズなどの調味料類、開封済みの袋に入ったちくわが入っている。
 コンビニ弁当:鶏の竜田揚げ弁当490円。賞味期限は二日前。
 ※目星ロールに成功すれば、ちくわの穴の中から小さな鍵を入手できる。

E風呂
 小さなユニットバス。水は張られていない。

F寝室
 ベットが一つとクローゼット、本棚がある。全体的に落ち着いたインテリアだが、壁にはデカデカとアイドルのポスターが貼ってある。
※部屋全体の目星ロールに成功すると、2Fが1Fに比べて狭いことが分かる。
 1)ベット:ベットメイクはされておらず、寝乱れている。その上に服が散乱している。慌てて出かけたという印象だ。ベッドの横のサイドテーブルには本が置いてあり、探索者にはそれがアラビア語を学ぶための本であることがわかる。本は使いこまれているようで、ページが痛んで厚みができている。
 ※ここで図書館ロールに成功すると、この本が不自然に重いことに気づける。本の背表紙が外れ、中からパソコンに使用するUSBメモリを発見する。
 2)クローゼット:乱雑に服が詰め込まれている。スーツやYシャツなどが多く、部屋着はあまりない。靴下も半ば床に撒かれている。
 3)本棚:一枚だけアイドルのCDがあり、パッケージは壁のポスターと同じものが使われている。本はシャーロックホームズの英語版のシリーズ、「カマド神信仰について」「日本の神話」などが並べられている。
 4)ポスター:ふりふりの衣装を着た、黒髪の若い娘がポーズをとっている写真が使われている。ロゴが入っているため、何かの特典だと分かる。
   ※目星ロールに成功すると、ポスターの後ろに扉があることが分かる。扉には鍵が掛っている。(ちくわの鍵か鍵開けで開錠)

G研究部屋
 探索者たちが重い扉を押し開けると、煤臭い乾いた空気が鼻を突いた。そこは窓のない隠し部屋で、床には何らかの紙束が散乱している。誰もいない、がらんどうな印象のする部屋だ。家具は机が一つだけしかない。壁際には不自然に何もないスペースがあり、過去にはここにあったのだろう物が運び出された後だと想像される。

 隠し部屋を見つける。カーペットとパソコン、コルクボードしかない部屋で、床には書類が平積みされている。
 1)書類:書類の山は多きく分けて二つ。一つ目は最近頻発している火災についての新聞記事で、もう一つは特に関連性の感じられない事件(暴行、窃盗、殺人など)の記事。
 2)パソコン:特にパスワードも必要なく、簡単に起動できる。しかし中にファイルは無く、不自然なほどにからっぽである。
   ※USBメモリを持っていれば、ここで再生できる。
 3)コルクボード:写真が数枚貼ってある。どれも黒地神父服を着た集団を隠し撮りした写真で、彼らは体のパーツのどれかが損傷している。教会のような建造物の写真(小さく十字架のような装飾が認められる、こじんまりした教会だが、中心に窓一つない奇妙な尖塔がある。)もある。
 4)床:書類のほかに布切れが放置されている。切り取られた跡があり、何かに使った端切れのようだ。よく見ると、それはコルクボードの写真の集団の来ているものと同じ色をしている。裁縫道具も転がっている。

 USBをパソコンに入れてみると、ファイルが二つ表示された。

H研究部屋:手記
一つ目のファイルは手記のようで、三か月前の日付から始まっている。

_____________

(冒頭)
 自分は今、とても危険なことを成し遂げようとしている。この手記が自分以外の誰かの手に渡ったということは、自分は既に奴らに消されたということだろう。奴らは狂っている!これを手に入れた君が、自分の遺志を継ぎ邪悪な邪教徒どもの野望を討ち砕いてくれることを祈っている。

 ○月○日
 奴らは忌々しい怪物を呼び出そうとしている。奴らは浅はかにも、自分たちがそれを自由に操れると信じきっているのだ。あの邪悪な存在がこの世界に召喚されでもしたら、世界は破滅する。死にたいならば奴らだけで死ねばよい。あの狂信者どもめが!自分はそんなものに殺されるつもりはない。奴らをどうにかするには、普通の方法では間に合わない。
 (以下、邪教徒と呼ばれる存在への罵倒と、彼らが召喚しようとしている怪物への恐怖が脈絡なく続く。)

(一か月前)
○月○日
 ついに燃え上がる神、かのお方へ助けを求める方法に辿り着いた。化け物を浄化する神。ああ、慈悲深きアマテラスよ。あの存在は光に弱い。しかしその御前に自分の姿を現すには、まだ足りない。偉大なる魔術師よ、力を貸したまえ。心配なのは奴らが目的のものを手に入れてしまう事だ。最近の奴らの暗躍は目に余る。他の誰の目が欺けても、この心正しき自分の目は誤魔化せない。

 ○月○日
 奴らの準備が整ってしまった。奴らは既に好機を待っている。早急に儀式を執行するべきだが、時節が悪い。時間を稼がなくてはならない。

(最後のページ、二日前)
 ○月○日
 危険だが、一つの方法を考え付いた。奴らの儀式を邪魔してやればいい。幸運にも今まで集めた奴らの情報がそれを可能にしている。簡単なことではないが、大丈夫だ。自分は為すべきことを知っているし、実行する勇気もある。

_____________


I研究部屋:地図
 もう一枚は画像ファイルで、開くと一枚の地図だ。地図には四か所に印がつけられていたが、一か所を除いて上から×印が記されている。×印の付いていない印の上には2053という数字が書かれている。

J探索終了
 友人は写真の集団と関わり(潜入し)、何らかのことが起きたために戻って来られなかったと考えられる。セリカは地図の写真を携帯電話で撮影し、その場所に行ってみるつもりだという。探索者は彼女に付いていくこともできるし、教団に直接踏み込むこともできる。

●教団に直接踏み込む場合 → 4へ



3、隠れ家
 探索者たちは地図の場所に行ってみることにした。それは彼の家から電車で一時間ほどの場所にあり、貸倉庫が並ぶ中のひとつだ。錆びついたコンテナボックスが無造作に並べられている。その一つ一つに振られた四ケタの数字がその倉庫の番号を示しているため、2053も倉庫の位置を示す番号のようだ。該当のコンテナの扉には鍵がかけられている。
@開錠
 貸倉庫群の前の小屋は無人だが、倉庫を管理している会社の電話番号が壁に書かれている。
 〈開錠手段〉
●鍵開けに成功する
●扉を破壊する(STR10)
●管理者に電話
 「倉庫の鍵は本人に渡しており、本人しか開けられないようになっている。倉庫の場所代は一年分を先払いで受け取っている。(六か月前)会社の信頼にかかわるので開けられない。」→信用ロール
●全てに全員が失敗すると、セリカがキック(マーシャルアーツ)でこじ開けてくれる。

A倉庫内
(手前の部屋)



 このコンテナは中心に間仕切りがついているもののようで、奥からもう一つの部屋に入れるようだ。
 探索者たちが踏み込んだ手前の部屋には、雑多な日用品が積み上げてある。古びた毛布、扇風機、缶詰、トランクケース(空)など、家においていれば場所をとりそうなものばかりである。この部屋は四人ならばなんとか中に入れる大きさだ。その日用品の間を縫うような獣道が奥の扉に続いている。
 目星ロールに成功すれば、その缶詰が食品の缶詰(カレー)だということが分かる。また、それぞれ五つまとめてパッケージされている中に、いくつか中身が減っているものがあることに気づく。パッケージごとではなく数個単位で使われている。
 壁にはカレンダーが飾られている。一ページに十二月が合わせて載せられているタイプのもので、10月のところに大きな赤丸が付けてある。

 探索者が全員部屋に入れば、セリカが最後に入って扉を閉める。その時探索者は、この部屋が妙に熱気を帯びていることに気づく。奥の部屋に近づくほど、その熱気は強くなり、何かがはぜている様な音すら聞こえてくる。
 探索者が奥の扉の前に立った瞬間、さっ、と目の前を閃光が覆った。その瞬間に異臭のする熱風が倉庫内を吹きすさぶ。眼前の扉が瞬時に発火して燃え落ちて、その奥に満ちていた熱気を開放させたのだ。くすぶる燃え残りを踏み越えて、赤い稲妻状のものが襲い掛ってくる。

 〈炎の精、炎をもたらすもの〉との戦闘
      ※炎の精は、一ターン目は必ず扉に一番近い探索者を攻撃する。

 ●戦闘から逃亡 → 3C脱出へ
 ●戦闘に勝利
  炎の精は飛び散って消滅したが、戦闘の余波で倉庫内のがらくたに火がついてしまっている。炎は既に手持ちの水で消せる様な状態ではなく、このコンテナにはスプリンクラーも水道もついていない。探索者は早急に脱出する必要がある。
  そのため奥の部屋では、一人一か所のみ目星を使うことができ、物品も一人一つしか持ち帰れない。

B奥の部屋
 簡単な机と本棚がある。床には缶詰のゴミが並べられており、生活感がある。
 ※文字をゆっくり読んで取捨選択する時間はない。読めて本の表題。

 ●本棚
  二冊の書物 『ネクロノミコン』(アラビア語版)の写本
        『エイボンの書』(英語版)の写本

 ●机
  二種のメモ。
      何らかの図形が書かれた大きめの紙
      文字の描かれた紙を束にしたもの
  液体の入った小瓶

C脱出
 探索者たちはコンテナから飛び出した。コンテナの中では何かがはじけるような音が繰り返され、おぞましい悲鳴と共に爆発して炎上した。
 探索者は駆けつけた警察官の聴取を受けることもできるし、逃亡することもできる。しかし事態を詳しく説明しても警察の信用は得られないだろう。

 セリカは逃亡を勧める。どうせ信じて貰えないに違いないし、狂人扱いされて拘束されるのも時間の無駄だ。自分は狂信者たちのアジトへ潜入するつもりだというのだ。

●教会に行かないとした場合、〈単独行動になった瞬間に狂信者に襲われ、地下牢に拉致され、尋問を受ける〉。

D取得物のチェック(火の精を倒し、奥の部屋から何かを持ち帰れた場合)
 ※本については、知らない言語でも幸運ロールに成功すれば知人に読んで貰える。その場合洩れなく知人は発狂する。

 ●『ネクロノミコン』(アラビア語版):アブドゥル・アルハザード著作の写本の断片。
  著者が目の当たりにしたり実行したりした冒涜的な儀式や、とても現実とは思えない吐き気がするような邪悪な存在との関わりについて記されている。
  「クトゥグアの招来」「旧神の印」について学ぶことができる。
 ●『エイボンの書』(英語版):魔法使いエイボンのラテン語著作の英語訳。
   宇宙の始まりから存在する白痴の神や、創造の範疇を超えたおぞましい存在の実在がまざまざと描かれている。それらの住む彼方の次元への門の開き方など、真面目に考えれば考えるほど、精神が摩耗していく。
  「レレイの霧の創造」について学ぶことができる。
 ●小瓶:不透明の液体が入っている。(石化薬。飲んだ者を石化させる。『エイボンの書』を読めた場合、これが石化薬だと事前に分かる。)
 ●印の描かれたメモ:旧神の印(五芒星の形だが、呪術的な雰囲気を感じる。五芒星の中心に花枠めいた楕円形があって、その両端が開いており、中には炎の柱が記される。)
 ●紙の束:「1940年に起こった、アメリカ中西部にあるリック湖周辺の森林火災」についての新聞記事が集められている。英語の記事のコピーだが、日本語訳がメモされているため読むことができる。記事には「火事の原因は不審火」「森が全焼」というようなことが記されている。
その後ろには手書きの小さな文字でびっしりと埋められた紙があり「リック湖周辺の森は形無き混沌の住処であり、それと敵対する超自然的存在が森を焼き尽くした」という夢物語のような注釈が書かれている。読んだ探索者は書き手の狂気の世界に引きずり込まれたような心地になり、SANロール(0/1D3)を行う。この紙の下部には「盲目にして無貌のものを祓うには生ける炎でしかありえない」と大きな文字で書かれている。
最後のページには「1666年のロンドン大火」の被害状況(町の85%が焼失し、4日間燃え続けた。犠牲者の多くは骨まで焼き尽くされた)がメモされており、余白に大火の原因は生ける炎の配下がもたらしたものであると書かれている。



4、カルト教団の教会
 2Gで得た写真を使い、教会の位置を調べることができる。尖塔に十字架のようなものがついているため、キリスト教系教会で探してみると、新興宗教の教会に似たものがあることがわかる。
 その教会は二階建ての建物で、中心に中庭を備えている様だった。中規模都市の都心の一角にある。以前も教会として使われていたが、ここ数年になって新興宗教の集団が使うようになっている。窓のない尖塔が中庭にそって建てられており、これは新興宗教集団により新しく建てられたものだという。
 近づいて見てみると、入り口にあった十字架は、なんだか十字架というには歪だ。上部が膨らんで丸みを帯びており、エジプトの生命の象徴の形状を思わせる。
 中に入る方法には、正面から礼拝堂に向かう方法と、裏口から潜入する方法がある。



@礼拝堂
 現在、教会は礼拝の最中である。探索者たちが説得ロールや信用ロールに成功すれば、祈祷に参加させてもらえるだろう。ここには探索者たちを案内してくれた信徒を加えて、9人の信徒が祈祷の開始を待っている。信徒たちは人当たりよく接してくれるが、祈祷が始まれば雰囲気は一変する。
 礼拝堂は天井が高く、天窓が備えられているため外光がよく入る。古びてはいるが、よく手入れされているようだ。入口から真っ直ぐ奥へ続く通路の左右に長椅子が並べられている。そのひとつに探索者は案内される。通路の奥にはゴシック風に装飾された大きな祭壇衝立があるが、奇妙なことにそこにあるべき祭壇画は全て取りのけられていて、中心に外で見た物と同じアンク状の巨大な十字架が据えてある。聖人像のひとつもなく、ステンドガラスは見た事の無い奇怪な図柄である。(アイデアロールに成功すると、ここに描かれているのが不定形で黒く渦巻くものである事が分かる。その存在に人間が跪いているという絵柄である。)
 何の前触れもなくパイプオルガンの演奏が始まり、そこにフルートが加わる。奇怪な旋律ではあるが調和した音楽が奏でられるが、しだいに音調が悪くなり悪魔的な旋律になり、調子を速めていく。いつのまにかパイプオルガンは止んでいた。旋律はごうごうと鳴る突風のような調子を帯びて行き、礼拝堂内に突風が吹き荒れている様だった。礼拝堂内の信徒たちが立ち上がり、声を揃えて

「いぐないい!いぐないい!えええ・や・や・や・やはあはああはああ・ああ・ああ・ああ・んぐふあああ・んぐふ・あああ・や・ややああ!」

と叫び始めた。人間でも獣でもない、何らかのおぞましい生物の鳴き声を模したような印象を探索者たちは体で感じる。礼拝堂内が一体になり、異物である探索者たちは背筋が凍る。SANロール0/1D3
この新興宗教は確実にキリスト教ではない、と探索者たちは知る。
 祈祷が終わると探索者たちは、「以後の本礼拝には参加させられない」と教会から出されてしまう。(教会に入った後に失踪したというイメージを避けるため)奇妙な行動をしなければ危害を加えられることは無い。

 ●このままこの日は解散とされた場合、〈単独行動になった瞬間に狂信者に襲われ、地下牢に拉致され、尋問を受ける〉。

 信徒への説得ロールに成功すれば(このカルトに入門したい考えていると信じさせれば)、礼拝堂の裏の神父控室に案内され、教団責任者と話ができる。
 教団責任者は初老の神父で、ドレア・フェスターと名乗る。他の信者と同じ黒い神父服だが、赤いケープを羽織っている。左手の手首から先がない。
 教団責任者「あなた方は実に恵まれた方たちだ。なぜなら、我々の大いなる守護神、知恵を下賜くださるかたの呼びかけに目を開かれたからだ。世界には終焉が訪れる。しかし、這い寄る混沌、千の貌を持つおかたに縋ってさえいれば問題ない。今日の所はお帰り下さい。後日、ゆっくり時間を取って教義についてお話ししましょう。」
 教団責任者とこの様な話ができた場合、連絡先を聞かれる。襲撃・拉致はされない。しかしトオルは見付からないし、捕まった仲間がいても戻ってくることはない。再び潜入を考えることになる。

A裏口
 探索者たちは鍵開けロールで開錠し、中に入ることができる。裏口周辺(中も外も)には様々な食料品の箱が並べられており、隠れるロールに30%プラス。
 探索者たちが教会内に潜入すると、目の前の部屋から出て来た三人の信徒が、探索者の眼前を連れだって右側に進んで行った。手前の角を右に曲がった信徒たちは、探索者の右の部屋(物置)に入って行ったようだ。
 建物の中心の中庭に沿って廊下が巡らされており、それぞれ外周の部屋に繋がっている。中庭に面した壁はガラスがはめ込まれており、見通しが良い。探索者は右と前の廊下へ進むことができる。右の廊下は小部屋(物置)につながっていて、さらにまっすぐ進んでも閉じられたドアがあるが、耳を澄ませなくても中からは謎の音楽が聞こえる。祈祷中のようだ。そのためか、人通りはない。
 セリカ「今のうちに手早く探索する必要がある。見付かって仲間を呼ばれれば、礼拝中の信徒たちも現れて無事には済まない。」
 前の廊下は一つの扉と一つの入り口に面していて、尖塔に入れそうな扉もある。突き当りに2Fへの廊下がある。廊下の手前で廊下は右に折れていて、そこを進んだ先にも扉がある。その扉は半ば開いていて、内部に人影が見える。

B厨房
 ●二階に行く前に立ち寄った場合
  前の廊下の手前の部屋は、聞き耳ロールに成功すると厨房であると分かる。少なくとも二人の人間が歩き回り、何かを調理している。
  内部に踏み込むと戦闘になる(背後からノックアウトでもよい)。援軍は無し。生け捕りにできた場合、尋問しようとしても「すぐに今出て行った奴らが戻ってくる。」と発言する。死体なら隠し、生きているなら連れて行かなければ礼拝は中断され、〈闇をさまようもの教団と全面戦闘〉になる。
 ●二階に行った後に立ち寄った場合
  部屋の中には誰もいない。完成済みの料理が、後は運ぶだけの状態で並べられている。皿の枚数は19セット。(調理がすんだ信徒たちは、礼拝へ参加しに行った)

C食堂
 前の廊下の手前の部屋を過ぎ、その隣の部屋の入り口から中をのぞいてみると、大きなテーブルがいくつも並べられている。食堂のようだ。少量の調味料が置かれているだけで、誰もいない。
 目星ロールに成功すれば、白い粉剤を発見する。これは強い抗精神剤であり、不快なにおいがする。どことなく手作りじみている。知識ロールか薬学ロールに成功すれば、かつてパラアルデヒドという化合物があり、それが不安感などに効果がある睡眠剤だということを思い出す。

D物置
 目星ロールに成功すれば、どこか心をざわめかせる不安を感じるナイフ(トオルの魔力を付加されたナイフ)を発見する。

 ●2Fに行く前に立ち寄った場合
  先ほど三人の信徒たちが入って行った部屋だ。聞き耳ロールをすれば、なにか物を移動させている音がする。
  踏み込むと三人の信徒との戦闘になる。物置らしいこの部屋は、荷物が壁寄りに積み上げられて、彼らの背後に地下への階段の入り口が顔を開けている。
  援軍は無し。この部屋には信徒を転がしておいて大丈夫である。信徒を尋問すれば、この地下に牢があり、彼らがそこへ食事を届けるところだったことが分かる。神格や事件の顛末については、トオルのメモ以上のことは分からない。あまり深く尋問しようとする探索者がいる場合は、セリカで「時間がない」とせっつくこと。
 ●2Fに行った後に立ち寄った場合
  誰もいない。(信徒たちは食事を運び終わり、礼拝へ参加しに行った)
  目星ロールに成功することで、乱雑に積み上げられた木箱の奥に、上げぶた式の隠し階段(石造り)があることに気づく。

E神父控室
 ●2Fに行く前に立ち寄った場合
  少なくとも二人の人間が中にいることが、扉の隙間から覗くと分かる。部屋の奥にも扉があり、礼拝堂に繋がっているようだ。
  中にいるのは教団責任者と護衛2人(3人)。踏み込むと戦闘になるが、護衛が戦っている間に教団責任者が礼拝堂に逃げ込む。そのまま〈闇をさまようもの教団と全面戦闘〉へ。
 ●2Fに行った後に立ち寄った場合
  神父は奥の扉の向こう、礼拝堂で礼拝をおこなっているらしい。誰もいない。簡素な待合室と言った印象の部屋で、礼拝に用いるのだろう蝋燭や盆が置かれている。赤いケープが椅子に掛けられており、そこから特殊な鍵を入手できる。(祭壇の部屋の鍵)

F塔の入り口
 施錠されていない。中は螺旋階段で、下と上に行ける。一人ずつ一列にならないと登れない様な、あまり大きくない階段。
 ●地下
  聖壇が半分の場所を占めている広間。誰もいない。聖壇のひときわ高い場所に、何かを備え付ける代のようなものがあるが、特に何も置かれていない。エメラルドやルビー、真珠などの宝石類や、良く分らない生物の尾や骨、液状化したダイヤモンドなどが、何らかの法則性を持って並べられているようだ。
  一つ扉があるが、妙に頑丈で鍵がないと開かない。(神話生物に耐えるレベル)探索者は塔へもどることになる。
 ●2F
  2Fに通じている。まだ上に登れる。
 ●3F
  最上階。小部屋がある。窓は無く真っ暗だ。ここに踏み込もうとすると、セリカが同行していれば「嫌な予感がするのでやめよう」とおびえた様子を見せるが、無視して探索してよい。(トオルが同行している場合は何もコメントしないで探索者についてくる。セリカと同行した時にここを回避していれば、トオル同行の探索場面でここに戻ってくる可能性は高いだろう。)
  少し目が慣れてくると、探索者はこの暗闇の中で目星ロールを行える。それに成功した者は、部屋の中心にほのかに輝いているものを見つける。それは開かれた金属製の箱であり、その中には黒い多面体が収まっている。微光を放っているのはその多面体で、血管のような模様が刻まれている。箱の上蓋の裏側の支柱によって吊り下げられていた。
  これを見てしまった探索者は、強力な魔力に捕えられたようになってしまう。目をそらすにはCON×5のロールに成功する必要がある。失敗すれば、輝く表面を見つめている内に、その内部に巨大な石の塔や幻想的な都市、暗黒の中の異界の揺らぎなどを目にしてしまう。目撃してしまった探索者はSANロール1D6を行う。かつ、この多面体の向こうから邪悪なものが自分を見ている感じがする。(ニャルラトテップとの接触)ここでこの探索者は「輝く三眼」とMPを抵抗表ロール(輝く三眼はMP22)で勝利しなくては精神的呪縛を受ける。以後の「輝く三眼」戦において、探索者は毎ラウンドMP×5ロールに成功しないと、「輝く三眼」にとって都合の悪い行動が取れなくなる。
  輝くトラペゾヘドロンは10センチ四方くらいの大きさ。持ち歩いてもいいが、「輝く三眼」の意志で探索者が操られるか、セリカが牢で取り上げようとするかするため、最後まで持っていられる可能性は低そう。異界のクリスタルで作られているため、壊すことはできない。

G教養スペース
 机と椅子が並ぶ場所で、談話室を思わせる。目に付くところに同じ装丁の本が何冊も並べられている。タイトルは『闇へ踏み込むものへの手引き』。読めばSANロール1D4/1D8。紙が綴じられたファイルも何冊もある。しかし中身は全て『闇へ踏み込むものへの手引き』の筆写なので、読めばSANロール1D4/1D8。
 『闇へ踏み込むものへの手引き』はこのカルト「闇をさまようもの教団」の秘儀書。這い寄る混沌と呼ばれる存在を称えたもので、その存在は不定の闇かつ無貌の者であるために多くの姿を持つと説く。その中でも特に「燃える三眼」を賛美する内容。ある道具でその神を召喚できると記される。その道具の履歴については、星の智慧派の管理下に入ってから詳細に記される。先駆者が水からそれを引き上げ、神と接触して神秘の術を得たという。(※じっくりと読む時間的余裕がない為、呪文の習得は無し)

  H宿泊室
 所狭しと二段ベットが並ぶ。誰もいない。ベッド数は25個。しかし5個には布団が敷かれておらず、使われていない様だ。
 目星ロールに成功すると、壁に小さく「にゃる・しゅたん!にゃる・がしゃんな!」と刻まれていることに気づく。

I実験室
 聞き耳ロールに成功すれば、中では一人の人間が動き回って何かをしていることが分かる。時折「追加材料はまだか」という呟きが聞こえる。踏み込めば戦闘になる(背後からノックアウトでもよい)。尋問すれば、人知を超えた神秘の術を再現しようとしているというのだが、机の上には毛むくじゃらな塊や、丁度人間の腰骨くらいの大きさの骨などが積まれている。部屋全体に胸が悪くなる臭気が立ち込めている。信徒は地下牢から人体の断片を提供されており、地下への入り口4D物置を知っている。

J地下
 地下は新しく作られたもののようで、石を組み合わせて作ったものだ。眼前には真っ直ぐ廊下が続いており、右手前に扉がある。そこからは、扉を開けなくても濃い血の臭気が漂っている。廊下は突き当りで左に折れている。

K尋問室
 手前の部屋は尋問室である。聞き耳に成功すると、二人の人間が行ったり来たりしている足音がする。踏み込めば戦闘になる。ナイフ使いは肉切り包丁を持っている。
 部屋の一角は鮮血にまみれており、言及するのも憚られるような道具が並んでいる。人体に苦痛を与えるための道具であることは一目でわかる。狂信者たちは部屋の片づけをしていたようだ。隅に血まみれの死体が転がしてある。SANロール0/1D3。
 奥に扉があり、地下牢に繋がっている。目星ロールで、扉の横に掛けられている牢の鍵を入手。

L地下牢
 牢には先客がいた。黒い神父服を着ているが、先ほどの狂信者たちが着ていたものとは少し違う。拷問を受けた後のようだが、生気はある。
 地下牢で探索者はトオルと合流する(※その探索者がトオルと面識があるかによって、ロールプレイに注意)。トオルは奪われた武器(4D物置にあるナイフ)を取り戻したいと考えている。
 当初は怪訝な視線を探索者へ向けた彼だが、助けに来たと分かると驚き喜びの入り混じった表情をする。しかし、一番後ろから現れたセリカを見たとたん、顔色を変えて「逃げろ」と叫ぶ。同時にセリカは一番適当だと思われる(STRが低い、話の中心人物などを加味して考える)探索者に後ろから銃を突きつけ、人質にして探索者たちを牢に閉じ込める。
 失敗した場合、セリカは〈忌まわしき狩人〉を召喚する。探索者は戦闘を行ってもいいし、降参して牢に入れられてもいい。
 牢の中で探索者たちは「セリカは実は教団員。トオルの他に自分たちの邪魔をしようとしている奴らがいないかを調査し、トオルの集めた教団にとって都合の悪いものを処分する任務を負っていて、探索者たちを泳がせていた」ことを知る。また「闇をさまようもの教団はニャルラトテップを召喚しようとしている」「ニャルラトテップは人類と地球に破滅を与える存在であり、召喚を止めなくてはならない」などの情報を知らない場合は、トオルが補足。彼に心理学ロールをかけると、彼にはまだ話していない秘密があることが分かる。信用ロールや言いくるめロールに成功すれば、トオルがニャルラトテップの対抗策としてクトゥグアを召喚しようとしていることが分かる。
 地下牢から脱出(鍵開けロールに成功)すると、トオルを伴った状態で探索を再開できる。
 ●輝くトラペゾヘドロンと接触していない場合は、「ニャルラトテップを召喚するアイテムを奪うか壊すことで召喚を阻止する」という目的の元で輝くトラペゾヘドロンへ向かう。
 ●輝くトラペゾヘドロンと接触している場合は、「君たちがその存在への道を開いてしまった以上、狂信者たちは召喚の儀式を急ぐに違いない」として4M祭壇へ向かう。

M祭壇(輝くトラペゾヘドロンと接触以後)
 鍵を持っていれば戸口から、持っていなければ塔から入れる(塔を通ると、頭上から何か重いものが蠢いているような音がする)。祭壇には現時点で生存している狂信者と、教団責任者、セリカがいる。
 探索者が部屋に踏み込むと、殺気を帯びた瞳に晒された。狂信者たちが武器を抜く。見れば祭壇に向かって、教団責任者が跪き、儀式を開始している。
 現時点で生存している狂信者 + セリカ との戦闘。セリカは1ターン目に〈忌まわしき狩人〉を召喚する。忌まわしき狩人〉は召喚時に生贄を一人探索者から選ぶが(ランダム)、トオルが同行している場合、「レレイの霧の創造」で目をくらませ、狂信者から生贄を一人選ばせる(ランダム)ことができる。

 ●10ターン以内に戦闘に勝利する
10ターン以内に教団責任者の儀式を中断させれば、祭壇周辺に「燃える三眼」が召喚されることは無い。しかし、トオルが死亡又は意識不明でなければ、いきなり〈クトゥグアの召喚〉を開始する。

 ●10ターン以内に戦闘に勝利できない
〈「燃える三眼」が召喚〉される。トオルが死亡又は意識不明でなければ、〈クトゥグアの召喚〉を開始する。

 「燃える三眼」が召喚されれば、トオルは対抗策としてクトゥグアを召喚するが、「燃える三眼」が召喚されなくとも輝くトラペゾヘドロンによって呼び出されているためクトゥグアを呼ぶ。祭壇は「神格の召喚を助ける」性質のものである。



5、生還
 教団を解散させ、神話生物を追い払うことができれば、探索者たちは晴れて教団を後にして我が家へ帰れる。




6、戦闘、召喚などについて


<教会>
信徒数は18人+セリカ+教団責任者=20人

うち、5人が銃、5人がマーシャルアーツ、10人がナイフ持ちである。
銃にはサイレンサーがついているため、同じ階にいなければ他の狂信者は気づかない。探索者が別行動していた場合も同様。祈祷中であれば、1Fでは誰も気づかない。

●礼拝堂(1F)
 銃2 マ3 ナ4

●尋問室(牢の見張り)(B1F)
 銃1 ナ1

●食事係(1F)
 銃1 マ1 ナ1

●実験室(2F)
 ナ1

●教団責任者の護衛(1F)
 マ1

●厨房(1F)
 ナ2

教団責任者 → 銃
セリカ → マーシャルアーツ


<狂信者による拉致>
 帰途につき、単身になった探索者。人気のない道を通っていると、音もなく近づいてきたワゴンの扉があき、三人の人間が飛び出してくる。彼らは何処にでも売っていそうな服装(ジャケットにジーンズなど)をしているが、皆体のどこかを欠損している。

 マーシャルアーツ 1人
 ナイフ 2人
 (※探索者が明らかに強いなら、多少強化してもよい。)

戦闘によって探索者が意識不明になる、または組み付きで拘束された場合、教団地下に連れて行かれ、手ひどい拷問を受けた後に牢に入れられる。
探索者がうまく逃亡すれば、それはそれで構わない。襲撃を経験し、探索者たちの不信感や不安感が募るだろう。

●拷問:SANロール(0/1D10)
    狂信者たちは、探索者を「生ける炎」という存在を信仰している集団の一人だと思い込んでいるようだ。地下尋問室で黒い神父服を着た狂信者に探索者は拷問される。本部の場所や団員数など、意味の分からないことを尋問される。

●牢:牢には先客がいた。黒い神父服を着ているが、先ほどの狂信者たちが着ていたものとは少し違う。探索者と同じく拷問を受けた後のようだが、生気はある。
    地下牢で探索者はトオルと合流する(※その探索者がトオルと面識があるかによって、ロールプレイに注意)
牢の見張りは5人。トオルから「近いうちに大掛かりな礼拝があるようなので、逃げ出すのはその時がいいだろう」という情報提供。 → 4L地下牢へ


<闇をさまようもの教団と全面戦闘>
 同じ階にいる生存中の狂信者との一斉戦闘になる。他の階にいる狂信者は2ターン目開始時に合流する。
 トオルが同行している場合は、彼の助力を得られる。
地下牢未脱出の場合は、降参すれば危害は加えられずに地下牢に入れられる。


<「燃える三眼」の召喚、戦闘>
教団責任者は探索者に向かって「君たちがしたことは本当に不本意だったが、辛くも準備が整った。今はもう感謝の気持ちしかない」と満面の笑みを浮かべて告げる。その目は暗く淀んでいる。時間稼ぎに探索者たちの相手をするよう、信徒に命じる。
もう説得ロールは通用しない。問答無用で畳み掛ける様にして戦闘が開始される。

●召喚成功
 どん、と何か重いものが落下したような音がして、照明が一気にすべて落ちる。翼が羽ばたくような音がして風が吹きすさんだ。おぞましい吐き気を催す臭いが漂い、周囲から人の奏でるものとは思えないようなフルートの音が聞こえてくる。礼拝堂から聞こえて来たものと似ているが、人間の範疇を超えているかどうかという決定的な点で、礼拝堂で奏でられていたのは粗悪な模造だったと分かる。目が慣れてきた探索者は、闇の中でわだかまるさらに暗い闇と、こちらへ向けられた三つの赤い瞳を目にする。SANロール1D6/1D20。
「輝く三眼」+狂信者との戦闘。

●召喚失敗
 教団責任者をSTRロールで押さえつける。彼は「放せ!無知な輩どもが!我々の邪魔をするならば、あのお方からの罰が下るぞ!」と金切声をあげるが、ニャルラトテップは答えない。 → 〈クトゥグアの召喚〉へ


<クトゥグアの召喚>
 トオルは魔力の付加されたナイフを掲げ、声高に叫ぶ。
「フォマルハウトが地平線の上に出ている時、生きた炎、クトゥグアが私の呼び声に答える!我が主よ、汚らわしき闇を焼き払ってください。

ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ほまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!」

呪文は三回繰り返される。

戦闘中の場合:トオルが召喚を開始し、次の彼のターンが回ってくるまでに召喚が中断させられれば(STR抵抗ロール)、ヤマンソが召喚される。
「闇をさまようもの教団」一掃後の場合:トオルが召喚を開始し、探索者がSTR抵抗ロールで召喚を中断させれば、ヤマンソが召喚される。

●クトゥグアが召喚された
 突如周囲が琥珀色の輝きに包まれた。何千もの光の光球が部屋を埋め尽くし、触れるものすべてを炎上させ始めたのだ。天井を作っていた石は液体化し崩れ落ち、その上に立っていた教会までもが燃え上がった。
 探索者にSANロール、1D3/1D20。
 炎の光球=クトゥグアは、「輝く三眼」が目の前にいる場合はそれに攻撃を始める(人間は眼中にない)が、祭壇部屋に召喚されていない(尖塔にいる)場合は尖塔に飛び去ってしまう。
 クトゥグアの炎に巨大な黒い塊は一瞬あかあかと照らされて、拒むように煙のような翼を振ったように見えた。不浄なにおいが満ちて、その巨大な煙のようなものは身をよじって空に昇って行った。(「輝く三眼」の退散)
 探索者はクトゥグアから逃げることも戦うこともできるが、ここでクトゥグアを放置すればそれこそロンドンの大火災以上の火災が起き、大きな被害が出るのは間違いない。

 燃え上がる祭壇部屋からの脱出:登攀ロールに成功するか、DEX抵抗ロールで成功する必要がある。失敗しても幸運ロール(マイナス20)で成功すれば、0/1D6のダメージを負うが脱出に成功する。

●ヤマンソが召喚された(ヤマンソのステータスはクトゥグアと同じとする)
 呪文に答えて現れたのは、たった一つの小さな光球だった。その輝きは禍々しく、探索者たちは強烈な視線をそこから感じる。1D3/1D20のSANロールを行う。
 「輝く三眼」はその光に照らされ、光の当たらない所へ退いた。しばらく暗闇から憎悪に光る赤い目がこちらを睨みつけていたが、そのうちどこかに姿を消してしまう。まだその暗闇に潜んでいる気がして、視線を逸らせない探索者を正気に戻したのは、身の凍るような恐怖の絶叫だった。それはトオルのものだった。彼は身をひるがえし逃走を図る。(DEX抵抗ロール。ヤマンソはDEX21)
 トオルが逃亡に失敗:ヤマンソはにやにや笑うように点滅し、トオルは絶叫をあげながら焼死。SANロール0/1D3。
 以後ヤマンソによる虐殺が開始される。探索者はヤマンソと戦闘になるが、狂信者たちもヤマンソに攻撃し、ヤマンソは狂信者と探索者の中からランダムに攻撃対象を選ぶ。


<NPCステータス>(一例)

●トオル(友人)
 STR 10  DEX 11  INT 16  アイデア 80
 CON 12  APP 12  POW 16  幸運 80
 SIZ 14  SAN 80  EDU 16  知識 80

 db +0
 MP16
 耐久力13

 応急手当80/回避74/鍵開け30/隠れる80/クトゥルフ神話29/心理学60/図書館60/変装11/ほかの言語(英語70・アラビア語60)/ナイフ75(1D4+2)

 呪文:エイボンの霧の車輪/クトゥグアの招来/ナイフに魔力を付与/旧神の印/レレイの霧の創造

●セリカ(闇をさまようもの教団員)
 STR 12  DEX 12  INT 16  アイデア 80
 CON 13  APP 14  POW 12  幸運 60
 SIZ 13  SAN 60  EDU 10  知識 50

 db +1D4
 MP12
 耐久力13

 応急手当55/回避44/隠れる60/クトゥルフ神話8/説得80/マーシャルアーツ(空手)70/キック80/組みつき75

 呪文:忌まわしき狩人の召喚・従属/記憶を曇らせる/被害をそらす


<備考>

旧神の印はクトゥグアに効くが、忌まわしき狩人や燃える三眼には効かない。
石化薬は忌まわしき狩人に対抗するアイテムとしているが、効かないことにしてもいい。

トラぺドヘゾロンは「CONロールに成功しても、接触した時点で燃える三眼が召喚される」ことにしている。

燃える三眼は探索者に襲い掛ってくると思われるが、クトゥグアは基本的に人間は眼中になさそう。



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